あるスポンサー募集チラシを見ていて、考えさせられました。
思いはきちんと書かれているのに、最初に目に入るのはイベント名と「スポンサー募集」です。
協賛を検討する企業が最初に知りたい「自社にとって、どんな接点や意味があるのか」は、読み進めた先にありました。
これは思いが弱いという話ではありません。
伝える順番の話です。
「スポンサー募集」は、何を求めているかを示す用件としては正しいです。
ただ、初めて見る企業が読む理由、つまり「なぜ自社が関わるのか」までをつくる言葉ではありません。
ヘッドコピーは用件を表示するだけでなく、読む理由をつくる場所でもあります。
一方で、結論ファーストで話せ!
とか
Whyから伝えろ!
という話を聞いたことはありませんか?
結論ファースト、Why(理念)ファースト、欲求訴求、ベネフィット、業界の逆説などの意外性、、、
どれを先にすべきか迷います。
矛盾してるじゃん!
怒りを感じる人もいるでしょう。
でも、これは正解争いではありません。
それぞれが、受け手の違う疑問に答えるための道具だからです。
最初に置くのは、言いたいことではない
伝える順番を決める時、送り手は「自分が一番伝えたいこと」から考えがちです。
理念に自信がある人ほどWhyから話したくなるし、成果に自信がある人ほど結論を先に出したくなります。
ただ、受け手はその順番で聞きたいとは限りません。
まだあなたに関心がない人は、立派な理念を見ても「それで自分に何が関係あるの?」で止まります。
逆に、すでに相談に来ている人へ、いきなり派手なベネフィットを見せても、話を浅く感じさせることがあります。
先頭に置くべきなのは、送り手が一番言いたいことではありません。
受け手が今いちばん答えを求めている、次の疑問への返答です。
媒体、相手の温度、そして相手の次の疑問によって、先頭に置くものが変わるだけです。
5つの型は、担当が違う
結論ファーストは、理解と判断を速くする型です。
報告、依頼された提案、検索から来た人のように、すでに問題を認識して「で、答えは何?」と思っている相手に強いです。
Whyは、意味、共感、信頼をつくる型です。
ここには、実は二つのWhyがあります。
一つは「送り手がなぜやるのか」です。
もう一つは「受け手がなぜ気にするのか」です。
すでに話を聞く理由がある人や、理念への共鳴が意思決定に効く採用や仲間募集では、送り手のWhyが力を発揮します。
ただし、まだ冷たい相手にとって最初のWhyは、受け手のWhyが見えていなければ「あなたの思い」に見えて素通りされます。
先に「自社にどんな意味があるのか」を示して初めて、送り手の思いも自分ごととして読まれます。
イシューは、何を考えるべきかを揃える型です。
コンサルや商談のように、そもそも問題設定がずれているかもしれない場では、結論を急ぐより先に問いを共有した方が進みます。
欲求やベネフィットは、自分ごとに変える型です。
低関心の広告、チラシ、SNSでは、相手が読む理由をまだ持っていません。
だから「これは自分に関係がある」と感じる痛みや得られる変化を、入口に置く意味があります。
意外性は、注意を起こす型です。
相手が「知っている話だ」と思って流してしまう場面には効きます。
でも、驚かせることだけが先に立ち、相手との関係や便益につながらなければ、ただの釣りになってしまいます。
そして、どの型で入ったとしても、その後には証拠と具体性が必要です。
ヘッドコピーで立ち止まってもらい、ボディコピーで「本当にそうなのか」を確かめてもらう。
ここまであって初めて、納得は動き始めます。
順番は「足りないもの」から考える
僕は、伝える流れを次の4つで見ると整理しやすいと思っています。
- 立ち止まる理由をつくる。
自分ごと、便益、意外性で「読む理由」を渡します。 - 話の地図を渡す。
結論やイシューで「これは何の話か」を分かるようにします。 - 信じる理由を渡す。
Why、根拠、事例で「なぜそれを信じていいのか」を支えます。 - 動く理由を渡す。
具体策やCTAで「次に何をすればいいか」を明らかにします。
大事なのは、毎回この順番に固定しないことです。
相手がすでに立ち止まっているなら、入口の自分ごとはいりません。
結論を知っていても信じられないなら、Whyや事例を先に渡す必要があります。
伝え方がうまくいかない時は、型を増やす前に見てみてください。
相手の頭の中で、今いちばん足りていないものは何でしょうか。
会話とライティングでは、見える情報が違う
1対1の会話では、相手の表情や言葉を聞きながら順番を変えられます。
質問をして、イシューを共有し、仮説を置き、結論へ進む流れが成立します。
相談に来た人なら、「いま一番困っているのは何ですか?」とイシューから一緒に定義できます。
この場面で結論を急ぐと、本当は別のところにある詰まりを見落とします。
上司への報告や、求められた提案なら話は別です。
相手は判断材料を待っているので、結論、理由、詳細の順が親切です。
一方、チラシやSNSは一方向の媒体です。
読者の反応を見ながら説明を変えられず、離脱も早いです。
しかも、こちらに興味がない人の目にも入ります。
だから最初の数秒で、自分ごと、便益、要点のどれかを渡し、それから何の話か、なぜ信じられるかへ進める設計が有効になります。
| 場面 | 最初に置きやすいもの | その理由 |
|---|---|---|
| 相談に来た相手との1対1 | イシュー、質問 | 問題の定義を一緒に揃える必要があるから |
| 上司への報告、依頼された提案 | 結論 | 相手が判断を待っているから |
| 冷たいチラシ、SNS、広告 | 痛み、便益、意外性 | まだ読む理由を持っていないから |
| 温かいファン、採用、理念への共感が重要な募集 | Why、ストーリー | 意味への共鳴が意思決定に効くから |
| 比較検討中のLP、案内ページ | 結論、差別化、ベネフィット | 選ぶ理由と根拠を確かめたい段階だから |
スポンサー募集のチラシなら、何を先にするか
先ほどのようなスポンサー募集では、主催者の思いを消す必要はありません。
むしろ、なぜその場をつくるのかというWhyは、協賛の意味を深くする大事な要素です。
ただ、初めて見る企業担当者は、まず「これはうちに関係ある話か」「協賛すると何が生まれるのか」を知りたいはずです。
その入口が見えた後なら、主催者の思いは企業の行動を後押しする理由になります。
たとえば、ヘッドコピーの方向性はこう変えられます。
- 広告枠ではなく、挑戦する若者との接点を。
- 次世代を応援する企業として、地域に名前が残る一日。
- 若者の挑戦を支えることが、企業の未来の顧客・仲間との接点になる。
これは、イベント名や募集要項を隠すための言葉ではありません。
協賛する側が最初に持つ疑問へ答えてから、詳細とWhyへ案内するための入口です。
書く前に、次の疑問を4つだけ聞く
コピーを書き始める前に、次の4つを紙に書き出してみてください。
- この人は、そもそも自分に関係があると思っているか。
- この人は、何が問題なのかを言葉にできているか。
- この人は、答えだけを急いでいるか、それとも信じる理由を探しているか。
- 読み終えた後、迷わず取れる次の行動は何か。
答えによって、最初の一文は変わります。
だから、結論ファーストかWhyファーストかを先に決めない方がいいです。
まず相手の次の疑問を決める。
その問いへの答えを先頭に置く。
これができると、欲求、結論、Why、意外性を一つの文章の中でケンカさせずに使えます。
自分の商品、媒体、相手に合わせて順番を並べ替えると、急に言葉が弱くなることがあります。
その時は、文章の上手さより先に、相手がどこで止まっているかを見てください。
刺さる言葉が作れないのは、文章力ではなく相手の現在地を見ていないからも、その確認の助けになるはずです。
もし自分の発信や案内文で、何から話し始めるべきか迷っているなら、個別相談で一緒に見ていきましょう。
文章だけを直すのではなく、誰がどの温度で読み、次に何を知りたがるのかから整理すると、伝える順番は見えてきます。