個人で活動する人が増えています。
コンサルタント。
講師。
コーチ。
コンテンツ販売者。
フリーランス支援者。
SNSやAI、決済サービス、オンライン講座の仕組みが整ったことで、個人でも自分の知識や経験を商品にしやすくなりました。
これは良い面もあります。
会社に依存せず、自分の経験を誰かに届けられる。
働き方の選択肢が増える。
専門性を持った個人が、小さく事業を作れる。
ただ一方で、似たようなコンサルや講座が増えすぎると、買う側からは違いが分かりにくくなります。
この時に起きるのは、単純な「業界の終わり」ではありません。
選別の始まりです。
コンサルが増えるのは終わりではなく、流行がピークに来たサイン
経営学には、management fashionという考え方があります。
直訳すると、経営流行です。
ある経営手法や考え方が「これからはこれが必要だ」と広がり、コンサル会社、経営グル、メディア、ビジネススクールなどがそれを後押しする。
すると、その領域に多くの提供者が集まります。
有名な研究では、TQMという品質管理手法がブームになった時、技術的な土台が弱い一般的なコンサルも大量に参入しました。
しかしブームが落ち着くと、最後に残ったのは、その領域に本当に関連する専門性を持つ人たちでした。
つまり、コンサルが増えること自体が問題なのではありません。
問題は、流行に乗って「それっぽく教える人」が増えた時に、買う側が成果を見分けられなくなることです。
コンテンツ販売でも同じことが起きやすい
コンテンツ販売や個人向け講座でも、似た構造があります。
最初は、経験を持った人が教える。
次に、その成果を見た人が真似する。
さらに、そのやり方を教える人が増える。
そして、「教える人を育てる人」まで増えていく。
ここまで来ると、業界全体が見えにくくなります。
- 誰が本当に成果を出しているのか
- 誰が現場で実装できるのか
- 誰が再現性を持って教えられるのか
- 誰がただ流行の言葉を使っているだけなのか
ここが分からなくなるからです。
さらに、副業や情報商材、稼げる系サポートに関する消費者トラブルもあります。
国民生活センターは、情報商材をきっかけに高額な副業コンサルティングやサポート契約へ勧誘されるケースが目立つと注意喚起しています。
消費者庁も、SNSを通じた投資や副業の「もうけ話」には注意するよう呼びかけています。
これからは、ただ「稼げます」「自由に働けます」と言うだけでは、信用されにくくなります。
次に残るのは、個人で稼げる人ではなく、成果を動かせる人
ここから大事なのは、個人で活動することを否定することではありません。
むしろ、個人で力をつけた人ほど、次の選択肢が増えます。
ただし、次の富を取る人は、単に自分一人で稼げる人ではないと思います。
次に強いのは、成果を動かせる人です。
たとえば、次のような人です。
- 自分の専門性を、法人や協業先の成果に翻訳できる人
- 個人向けの商品を、組織の課題解決として提案できる人
- 他の個人事業主を束ねて、チームとして成果を出せる人
- 自分が前に出なくても、仕組みや役割で価値を出せる人
- 必要なら再就職や業務委託を選び、組織内で成果を出せる人
個人で稼ぐ力は、ゴールではありません。
次のステージでは、その力をどこで使うかが問われます。
小さな確認ワーク
今、自分が個人で活動しているなら、次の3つを確認してみてください。
1つ目。
自分の商品やサービスは、誰のどんな成果に変わっているか。
2つ目。
その成果は、個人だけでなく、法人やチームの成果にも翻訳できるか。
3つ目。
自分が直接動かなくても、誰かと組んで同じ価値を届けられるか。
この3つが見えないまま発信や商品を増やしても、似たような人の中に埋もれやすくなります。
逆にここが見えてくると、個人向けの商品も、協業、法人提案、チーム化へ広げやすくなります。
相談で見るべきこと
個人コンサルや講師が増えた時代に、見るべきなのは「もっと発信する方法」だけではありません。
自分は今、どの市場にいるのか。
その市場は、まだ伸びているのか、すでに選別が始まっているのか。
自分の価値は、個人相手だけでなく、組織や協業先に伝わる形になっているのか。
自分がやるべきことは、発信を増やすことなのか、商品を整理することなのか、法人・協業へ翻訳することなのか。
ここを一度見た方が早いです。
「個人で稼げるようになる」は大切です。
でも、それだけで止まると、同じような人が増えた時に苦しくなります。
これから必要なのは、個人で身につけた力を、どこでどう使うかを選べる状態です。
関連記事: 個人向けの商品を法人向けに見せる時に変えるべき3つ
関連記事: 協業が単発で終わる理由
ここまで読んで「自分は次にどこへ広げるべきなんだろう」と感じた方は、一度、今の商品と発信、相談導線をセットで見た方が早いです。
個人のまま伸ばすのか、協業にするのか、法人向けに翻訳するのかで、次に整える場所は変わります。
参考
- Eric Abrahamson, “Management Fashion”, Academy of Management Review, 1996
- David Strang, Robert J. David, Saeed Akhlaghpour, “Coevolution in Management Fashion: An Agent-Based Model of Consultant-Driven Innovation”, American Journal of Sociology, 2014
- Robert J. David, David Strang, “When Fashion is Fleeting: Transitory Collective Beliefs and the Dynamics of TQM Consulting”, Academy of Management Journal, 2006
- 情報商材(各種相談の件数や傾向) - 国民生活センター
- SNSなどを通じた投資や副業といった「もうけ話」にご注意ください - 消費者庁
- フリーランス・事業者間取引適正化等法 - 内閣官房