信頼され、お願いされる自分になるための「5つのYES」
──個別相談を見直す「信頼・動機・課題認識・解決策・代価」の評価指標
個別相談で申し込みにつながらなかったとき、どこを振り返っていますか。
「価格の伝え方が悪かったのかな」
「もっと商品の魅力を説明すればよかった」
「最後の一押しが足りなかったのかもしれない」
こう考える人は多いと思います。
でも、最後の伝え方を変える前に、見直したいことがあります。
それは、相談の中で、相手が何に納得し、何にまだ納得していなかったのかということです。
あなたのことは好きだけれど、実力には確信が持てなかったのかもしれない。
変わりたい気持ちはあっても、提案された方法が自分に合うと思えなかったのかもしれない。
方法には納得していても、取り組みに必要な時間を想像できていなかったのかもしれません。
ここを全部「クロージングが弱かった」で片づけると、直す場所を間違えてしまいます。
そこで、個別相談を振り返るために使ってほしいのが、「5つのYES」です。
- 信頼のYES
- 動機のYES
- 課題認識のYES
- 解決策のYES
- 代価のYES
今回は、発信や紹介などを通じて、相手が自分から個別相談に申し込んでいる場面を前提にします。
講師、コンサルタント、コーチ、施術者など、人の変化を支援する仕事で、自分の相談や提案を点検するための指標です。
採点するのは、こちらが上手に説明できたかではありません。
相手の中で、どんな納得が生まれていたかです。
① 信頼のYES:「この人には、本音を話して相談したい」
個別相談に申し込んでいる時点で、相手には多少の期待があります。
「この人なら、何か教えてくれそう」
「自分の悩みを解決するヒントがありそう」
ただ、申し込んだことと、本音を話せることは同じではありません。
失敗したこと。
人には言いづらい事情。
自分でも認めたくなかった気持ち。
提案を聞いて感じた不安や疑問。
こうしたことまで話せるかどうかで、相談の深さは変わります。
信頼のYESとは、「この人には、取り繕わずに話した方が、自分にとって役に立ちそうだ」と思えている状態です。
ここでいう信頼には、人柄への安心だけでなく、専門性や経験への期待も含まれます。
「この人なら、自分の悩みを理解し、解決に向けて力になってくれそうだ」と思えているかどうかです。
感じがよく、話しやすい人でも、「相談して、自分の状況は変わるだろうか」と思われていたら、深く任せてもらうのは難しいですよね。
信頼は、相談が始まる前からつくられている
例えば、あなたのプロフィールや発信を見たとき、何が伝わるでしょうか。
- どんな経験を、どれくらい積んできた人なのか
- 誰の、どんな悩みに対応してきたのか
- 実績は、内容や背景まで確認できるか
- 出版、登壇、大学や企業での講座、メディア出演など、専門性を裏づける材料があるか
- 普段の発信に、専門家としての考え方や判断が表れているか
活動歴が長いことも、経験を判断する材料の一つです。
ただ、年数だけでは、その人に何を相談できるかまでは伝わりません。
始めて間もない人でも、対応できる範囲を明確にし、学んできたことや支援の過程を具体的に示せます。
反対に、長く活動していても、経歴が曖昧で実態が見えなければ、相手には判断できません。
大切なのは、立派に見せることではなく、任せられると判断するための材料を出すことです。
提供している価値と、自分の印象はつながっているか
もう一つ、見直してほしいことがあります。
それは、自分が届けたい価値と、相手から見える自分に一貫性があるかどうかです。
プロフィール写真、服装、身だしなみ、姿勢、表情、話し方。
オンライン相談なら、背景や音、画面に映る環境も含まれます。
丁寧な暮らしを提案している人から、普段どんな暮らしが伝わっているか。
伝え方を教えている人の説明は、分かりやすいか。
人の話を聞く仕事をしている人が、相談者の話を遮っていないか。
ダイエットを教えている人自身が太って見えたとき、お客さんは「この人の方法で、自分が望む変化を得られるだろうか」と疑問を持つかもしれません。
そのとき、自分の取り組みや経過、支援の実績など、疑問に応える材料を示せているでしょうか。
見た目の改善を提案している人の髪型が本人に似合っていなかったり、メイクが雑に見えたりしたら、「この人に自分の見た目を任せたい」と思ってもらえるでしょうか。
外見だけで、その人の能力が決まるわけではありません。
ただ、相手はまだあなたの実力を十分に知らないからこそ、目に入る情報からも判断します。
自分が届けたい変化と、自分から伝わる印象はつながっているか。
ずれがあるなら、その背景や専門性を、相手が理解できる形で伝えられているか。
つまり、信頼を育てるうえでは、相手から憧れられる要素を持てているかどうかも重要です。
「自分も、この人のようになりたい」
「こんなふうに働きたい」
「こんな自信や余裕を持ちたい」
そう感じられる何かが、自分から伝わっているでしょうか。
豪華な暮らしや完璧な見た目を目指す必要はありません。
自分のお客さんが望んでいる変化を、あなた自身の姿や行動からも感じてもらえるか、ということです。
自分では見慣れているプロフィールや相談動画を、一度、初めて会うお客さんの目線で見直してみてください。
話を聞く姿勢でも、信頼は変わる
相談が始まってからは、細かな振る舞いも見られています。
相手が話し終える前に、結論を出していないか。
分かったつもりで、一般論に当てはめていないか。
言いづらそうにしている場面で、待てているか。
十分に聞いたところで、整理して次へ進めているか。
長く聞けばいいわけでも、たくさんうなずけばいいわけでもありません。
感情には共感しながら、原因の捉え方には別の可能性を伝える。
必要なときには自分の経験も話し、相手が安心して話せるようにする。
そのうえで、相手の話が中心にある状態を保つ。
そして、「そこは少し違います」「その方法は不安です」と言ってもらえることも、信頼の一つです。
すべてにうなずいてくれるから、信頼されているとは限りません。
こちらに合わせて、言いたいことを飲み込んでいる可能性もあります。
異論や迷いまで含めて、「本音」を話してくれる状態になっているかを見てください。
「本音」を引き出せなければ、この後のパートで何を聞いても、何を話しても意味がありません。
② 動機のYES:「私は、こう変わりたい。その理由がある」
次に見るのが、変わりたいという動機です。
「売上を上げたい」
「見た目を変えたい」
「自分に自信を持ちたい」
こうした言葉を聞いたとき、すぐに解決策の話へ進んでいないでしょうか。
個別相談では、相手も質問に答えようとします。
普段から深く考えていなかったことでも、聞かれたから、その場で思いついた目標を口にすることがあります。
「もっと稼ぎたい」
「痩せたい」
「モテたい」
もちろん、大切な願いです。
ただ、その言葉が出てきたことだけで、本人の深い動機を掴めたとは限りません。
知りたいのは、なぜ、その変化を望むようになったのか。
その背景にある、根源的な欲求や原体験です。
目標だけでなく、そう思うようになった出来事を聞く
例えば、「もっと仕事を増やしたい」という言葉の奥に、家族にお金の心配をさせたくない気持ちがあるかもしれません。
「見た目を変えたい」という言葉の奥に、人の目を気にして、やりたいことを諦めてきた経験があるかもしれません。
「自信を持ちたい」という言葉の奥に、いつも自分の意見を飲み込み、周りに合わせてきた苦しさがあるかもしれません。
どうなりたいのかに加えて、こう聞いてみます。
- そう思うようになったきっかけはありますか
- 特に強くそう感じたのは、どんなときですか
- そのとき、どんな気持ちでしたか
- 変われたら、今までと何が違うと思いますか
- 今の状態が続くとしたら、何が一番つらいですか
こうした問いを通じて、目標が本人の人生とつながっていきます。
具体的なエピソードが見えると、こちらも「なぜ、この人にとって変わることが大切なのか」を深く理解できます。
本人も、話しながら「自分は、だから変わりたかったんだ」と気づくことがあります。
その背景が分かるからこそ、共感も具体的になります。
「その経験があったから、今度は自分で選べるようになりたいんですね」
「ずっと我慢してきたからこそ、これからは自分のためにも動きたいんですね」
そこまで共有できると、「だからこそ、一緒に変えていきましょう」と同じ方向を向けるようになります。
ただし、深いエピソードがすぐに出てこないからといって、表面的な願望だと決めつける必要はありません。
まだ話す準備ができていない場合も、自分の気持ちをうまく言葉にできていない場合もあります。
大切なのは、話してもらうことを急ぐより、背景を理解しようとすることです。
「欲しい」と「そのために動きたい」は違う
ここで、願望と動機を分けて考えてみます。
何も変えず、何の負担もなく、望む結果が手に入るなら、欲しいと思う人は多いでしょう。
でも、そのために時間やお金や労力を使い、自分の行動を変えたいかと聞かれると、答えは変わります。
この5つのYESでいう動機は、「そうなれたらいいな」という願望から一歩進んだものです。
自分にとって大切だから、変わるために動きたい。
必要な負担があっても、目指したい理由がある。
そこまでつながっているかを見ます。
そのためには、理想の状態だけでなく、今の不満、その間に感じている壁、取り組むために必要だと思っている負担も聞く必要があります。
望む未来があっても、そこへ向かう負担の方が大きく感じられていれば、行動にはつながりません。
反対に、「もうこの状態を続けたくない」「今回は向き合いたい」という意味が本人の中ではっきりすると、動く理由が生まれます。
今まで、何をしてきたのかまで掴む
動機を理解するうえで、過去の行動も大切な手がかりです。
- いつから、その状態を変えたいと思っていたのか
- これまで、何に取り組んできたのか
- なぜ、その方法を選んだのか
- どれくらい続け、どんな結果になったのか
- 何に時間やお金、労力を使ってきたのか
- どこで止まり、何が今も心残りなのか
長く悩んできたこと。
何度も挑戦したこと。
うまくいかなくても、諦めきれずに考え続けてきたこと。
そこには、本人にとっての重要さが表れます。
ただし、行動や投資が少ないことだけで「動機が弱い」と決めつけることはできません。
お金や時間の制約があった人も、方法を知らなかった人もいます。
だから、行動した量だけでなく、行動した理由と、できなかった事情まで聞きます。
まだ本人の中で、変わる意味がはっきりしていない場合もあるでしょう。
その場合は、今の状態にどんな行動や選択の積み重ねが関わっているのかを、一緒に振り返るところから始めます。
本人を責めるためではありません。
「これから何を変えれば、違う方向に進めそうか」を見つけるためです。
過去の努力を承認し、一緒に目指す方向をつくる
取り組んできた過程が分かったら、その努力を具体的に受け取ってください。
「何度もうまくいかない中で、そこまで続けてきたんですね」
「それだけ大切だから、今回も相談しようと思ったんですね」
「ここまで取り組んできたことを、次につなげたいですね」
ただ「大変でしたね」と言うよりも、相手の経験に沿った言葉だからこそ、理解してもらえたと感じられます。
そのうえで、本人にとって何を叶えたいのかを、もう一度確かめます。
「このまま諦めてしまうのは、やっぱり悔しいですか」
「これからは、どうしていきたいですか」
そこで本人が「やっぱり変わりたい」と言えるなら、その意思を一緒に大切にする。
「だからこそ、今度はどう進めばいいか、一緒に考えましょう」
こうした対話を通じて、信頼と動機はさらに深まります。
動機をつくるとは、こちらの都合で欲しがらせることではありません。
本人の中でまだ言葉になっていない願いや、その背景にある経験をつなぎ直し、自分が変わりたい理由を確かなものにしていくことです。
ここで見るのは、「何のためなら、負担を引き受けてでも変わりたいのか」。
最後の代価のYESでは、その理由を踏まえて、具体的な料金・時間・行動を引き受けられるかを確認します。
本人にとって変わる理由が曖昧なままでは、提案の良さが伝わっても、必要な負担を前に迷いが残りやすくなります。
だからこそ、目標を聞けたところで終わらせない。
その人が、なぜそこまで変わりたいのかを、一緒に掴みにいくことが大切です。
③ 課題認識のYES:「今まで、だからうまくいかなかったんだ」
変わりたい理由が見えたら、次は、その変化を妨げている課題を整理していきます。
ただ、課題が分かっただけでは、まだ十分ではありません。
その課題が、なぜ生まれているのか。
根本にある原因まで見ていく必要があります。
課題認識のYESは、原因認識のYESとも言い換えられます。
表面に出ている課題と、その課題を生む原因を分ける
例えば、「投稿数が足りないから集客できない」と考えている人がいたとします。
話を聞いていくと、投稿数よりも、そもそも商品が顧客の求めているものとずれていると分かった。
それなら、商品を見直す必要がありますよね。
でも、そこで本人が「なるほど、商品を作り直せばいいんですね」と理解して終わってしまうと、まだ表面的な気づきにとどまっている可能性があります。
本当に掴みたいのは、なぜ商品がずれたのか。
そして、なぜ本人は、そのずれに気づけなかったのかです。
顧客が何に困っているのかを、十分に聞けていなかったのか。
話は聞いていても、言葉の奥にある背景まで考えられていなかったのか。
相手の反応を観察し、自分の仮説を見直す機会がなかったのか。
商品をつくるときの判断が、顧客よりも自分の「教えたいこと」に寄っていたのか。
表面に現れているのは、「商品が顧客とずれている」という課題です。
その奥には、顧客理解、観察力、ヒアリング、思考の深さ、仮説を検証する習慣など、いくつもの要因が関わっているかもしれません。
そこを見ないまま商品だけを作り直しても、同じ聞き方、同じ考え方、同じ判断基準でつくれば、また似たずれが起きます。
だから、「何を直すか」だけでなく、「何が原因で、今の状態になったのか」まで、本人と一緒に理解する必要があります。
「分かりました」「勉強になりました」がゴールではない
個別相談で、こんな言葉をもらうことはないでしょうか。
「なるほど、よく分かりました」
「そこを変えればいいんですね」
「勉強になりました。やってみます」
一見すると、相手の役に立てたように感じます。
でも、その言葉だけで、課題認識のYESが深まったとは判断できません。
本人が、課題を見つけたことと、その課題を解決できることを、頭の中で簡単に結びつけている場合があるからです。
「商品を見直せばいい」と分かっても、誰のどんな話を聞き、何を判断材料にして、どう見直すのかまでは掴めていない。
いざ一人で取り組もうとすると、そこで止まります。
あるいは、本人がずれに気づかないまま、以前と同じ判断を繰り返してしまいます。
そして、また「なぜうまくいかないんだろう」と悩むことになる。
その状態で相談を終えてしまうと、本人は望む未来に近づけません。
こちらにとっても、「役立つ知識を教えてくれた人」で終わり、提案する支援の必要性が伝わりにくくなります。
教えることに意識が向きすぎると、相談が「お勉強の時間」になってしまいます。
相手も知識を受け取ったことで満足し、自分の何を変えなければいけないかまで向き合わずに終わってしまうんです。
自分の行動と、うまくいかなかった原因がつながっているか
課題認識のYESで目指すのは、専門家の説明にうなずいてもらうことではありません。
「今まで、だからうまくいかなかったんだ」
と、自分の経験に結びついた気づきが生まれることです。
先ほどの例なら、
「自分が教えたいことを中心に商品をつくっていた。顧客の話を聞いても、その商品を欲しいかどうかばかり確認していて、相手が本当に困っていることを理解できていなかったのかもしれない」
と、本人の中でつながっているか。
そこまで分かると、商品を一つ作り直すだけでなく、顧客への向き合い方や、商品を考える過程そのものを変える必要が見えてきます。
そのためには、今まで何をしてきたのかだけでなく、なぜその方法を選び、何を見て判断し、どんな反応をどう受け取っていたのかまで聞きます。
原因を最初から決めつけるのではなく、本人の具体的な行動を確認したうえで見立てる。
その過程があるからこそ、一般論ではなく、自分の課題と原因として理解できるようになります。
「では、自分はどうすればいいのか」が生まれているか
課題と原因が深く腑に落ちると、相手の関心が変わります。
「商品を作り直せばいいんですね」で完結するのではなく、
「では、自分は顧客の何を聞けばいいんですか」
「どこから考え方を変えていけばいいんですか」
「自分では気づけなかったずれを、どう確かめればいいんですか」
と、具体的な進み方を知りたくなります。
この状態が、解決策のYESにつながります。
もちろん、わざと説明を曖昧にして、支援がなければ進めないと思わせる話ではありません。
自分で進める場合も、支援を受ける場合も、原因を理解せずに取り組めば、同じ問題を繰り返す可能性があるということです。
確認したいのは、「何をすればいいか分かった」という返事だけではありません。
何が原因だったのか。
なぜ今まで気づけなかったのか。
同じ問題を繰り返さないために、どこを変える必要があるのか。
ここまで本人が掴めているかを見てください。
④ 解決策のYES:「この方法なら、叶えられそうだ」
課題と原因への理解が深まると、相手の中に「では、自分はどうすればいいのか」という問いが生まれます。
その問いに対して、進む道筋を示していくのが、解決策のパートです。
ここでいきなり、商品の内容や特典を並べていないでしょうか。
「動画が何本あります」
「個別相談がついています」
「いつでも質問できます」
これらはサービスの内容ですが、それだけでは、その人が申し込む理由にはなりません。
相手が知りたいのは、「それが、自分の課題を解決するうえで、どう役に立つのか」です。
課題・原因・提案が、一本の線でつながっているか
解決策のYESとは、商品内容を理解しているだけの状態ではありません。
自分が向き合う課題に対して、何を、どんな順番で変えていくのか。
その課題を生んでいる原因に、どう取り組むのか。
そのために、この提案がどう役立つのか。
この道筋に、本人が納得している状態です。
先ほどの例なら、単に「一緒に商品を作り直しましょう」という提案だけではなくなります。
まず、顧客の悩みをどう捉えていたのか、これまでの判断を振り返る。
次に、実際の顧客との対話を通じて、理解できていなかった背景や要望を掴む。
そのうえで商品を見直し、相手の反応を確かめながら調整する。
本人がヒアリングや判断でつまずくなら、そこを一緒に確認する支援も必要になるでしょう。
目の前の商品を直すだけでなく、同じずれを繰り返さないための取り組みまで示す。
そうすることで、個別相談や添削、質問できる環境などの意味が伝わります。
サービスの機能を説明する前に、その人が進むための道筋を示すことが大切です。
欲しい変化を、本人の言葉で確認する
そのうえで、こちらが説明し続けるのではなく、相手にも確認していきます。
「自分では気づけないずれを、一緒に確認できる環境があったら嬉しいですか」
「顧客が本当に求めていることを掴んで、商品を考えられるようになったら嬉しいですか」
「それができるようになったら、今の状況はどう変わりそうですか」
こうした問いを通じて、本人が何を欲しいと思っているのかを言葉にしてもらいます。
こちらが「あなたには、これが必要です」と説明するだけでは、相手は受け身のままです。
本人から、
「それができるようになりたいです」
「まさに、そういう支援が欲しかったです」
「一人だと判断できずに止まっていたので、それがあれば進めそうです」
という言葉が出てくるかを見ます。
自分が何を望み、どんな方法で進みたいのかを、自分の言葉で表明する。
これが、ここで引き出したいコミットです。
ただ「嬉しいですか」と聞いて、YESを集めればいいわけではありません。
何が嬉しいのか。
なぜ、それが自分に必要なのか。
それがあれば、何が変わると思うのか。
そこまで話してもらうことで、提案と本人の願いがつながります。
もちろん、「あったら嬉しい」という返事だけで、購入を決めたことにはなりません。
ここではまず、その変化や支援を、本人が本当に欲しいと思っているかを確かめます。
「良い方法」と「自分に合う方法」は違う
方法として納得できても、自分が取り組めると思えなければ、解決策のYESは深まりません。
「理屈は分かるけれど、自分にもできるだろうか」
「今の生活で、続けられるだろうか」
「以前も似たことを試して、うまくいかなかったけれど大丈夫だろうか」
こうした迷いにも、その人の状況に沿って答える必要があります。
本人が何をするのか。
こちらがどこを支援するのか。
つまずいたときは、どう確認し、調整するのか。
期待できることと、約束できないことは何か。
ここが具体的になるほど、自分が取り組む姿を想像しやすくなります。
過去にうまくいかなかった経験があるなら、「今回は何が違うのか」も重要です。
前と同じ提案に見えているままでは、前向きには選びにくいですよね。
この支援を選ぶ意味が、本人の中にあるか
課題と原因が分かったあと、「まずは自分でやってみたい」と考える人もいます。
そのときに確認したいのは、自分で進める見通しがあるのか、それとも、まだ分かったつもりの段階なのかです。
何から始め、何を基準に判断し、どこで見直すのか。
その道筋を本人が持てているかを確かめます。
そのうえで、支援を使う場合には何が変わるのかを伝えます。
自分では気づきにくいずれを確認できる。
迷ったときに、次の行動を整理できる。
試した結果を一緒に振り返り、取り組み方を調整できる。
こうした支援の意味を、本人の課題と原因に合わせて示していきます。
「一人では絶対にできません」と言う必要はありません。
本人が「この支援があることで、自分はこう進みやすくなる」と理解できることが大切です。
解決策のYESで見たいのは、「良いサービスですね」という感想ではなく、
「この方法なら、叶えられそうだ」
「この支援を受けながら取り組みたい」
という、自分自身の選択につながる納得です。
そして、その方法で進みたいと思えたところで、必要な料金・時間・行動を具体的に確認する。
そこから、次の代価のYESへとつながっていきます。
⑤ 代価のYES:「そのために、必要な負担を引き受けたい」
最後は、代価です。
代価というと多くの方がお金のことを思い浮かべますが、支払うべきコストとはお金以外にも、
- 取り組む時間
- 練習や実践などの労力
- これまでの習慣を変えるなどの精神的抵抗
なども含まれます。
「価値はあると思う」と「今の自分が引き受けられる」も別です。
料金には納得していても、必要な時間を確保できないこともあります。
だから、価格への反応だけで判断せず、具体的に何を引き受けるのかを共有する必要があります。
申し込んだあとに、何をする必要があるか
例えば、話す力を変えるなら、説明を聞くだけではなく、実際に話し、振り返り、練習する時間が必要になります。
発信を変えるなら、今までの投稿を見直したり、顧客の話を聞いたり、新しい内容を試したりする必要があるでしょう。
生活習慣を変えるなら、慣れた時間の使い方や行動を変える場面も出てきます。
申し込みさえすれば、あとは何もしなくても変わる。
相手がそんなイメージを持っていたら、支援が始まってから「思っていたのと違う」となってしまいます。
どんな支援を受けられるのかだけでなく、自分は何に取り組む必要があるのか。
そこまで分かったうえで、選んでもらうことが大切です。
負担の話は、最後にまとめて出さなくていい
こうした話は、価格を伝える直前まで待つ必要はありません。
例えば、練習が必要な支援なら、相談の途中で、
「聞いて分かるだけでなく、実際に試す時間も必要になりそうですね」
「今の生活の中なら、どの時間を使えそうですか」
と確認できます。
早い段階から、変わるために必要な取り組みを一緒に考えておくんです。
ただし、「変わるには努力が必要ですよね」と同意してもらっただけでは、十分ではありません。
努力が必要なのは分かっていても、毎日どれくらい取り組むのか、何を変えるのかまでは想像できていないこともあります。
だから、提案する段階では、
「この支援では、こういう実践に取り組んでもらいます」
「そのために、このくらいの時間が必要です」
「今の生活で取り組むなら、何か調整が必要そうですか」
と、具体的な話にして確認します。
迷っているなら、「何が難しいか」を一緒に見る
相手が迷ったときも、すべてを「覚悟が足りない」で片づけないでください。
初めて動画を撮るから、恥ずかしい。
慣れない練習なので、面倒に感じる。
今までの習慣を変えるのが、少し不安。
こうした抵抗なら、小さく始める方法や、取り組みやすい進め方を考えられます。
一方で、仕事や家庭の事情で時間が取れない、提案された方法が自分の価値観に合わないなど、別の理由で難しさを感じている場合もあります。
そのときは、進め方や条件を見直す必要があるかもしれません。
何が不安なのか。
何が負担なのか。
どうすれば取り組めそうなのか。
そこを確かめたうえで、必要なコストを理解し、「それでも、この変化のために取り組みたい」と本人が選べているか。
それが、代価のYESです。
5つは、この順で深まる。でも、終わった項目にはならない
信頼、動機、課題認識、解決策、代価。
基本的には、この順で納得を深めていきます。
ただ、信頼ができたからといって、その後は信頼のYESを意識せず話を進めていいわけではありません。
提案を急いだことで、信頼が下がることもあります。
反対に、費用や支援の限界を率直に説明したことで、信頼が深まることもあります。
解決策を聞いて、動機が具体的になることもあるでしょう。
これは、順番にチェックをつけて終わる台本ではありません。
相談の間、ずっと見続ける5つの指標です。
自分の個別相談を、各10点満点で採点する
相談が終わったら、成約したかどうかだけでなく、5つのYESをそれぞれ10点満点で振り返ってみてください。
| 項目 | 確認したいこと | 点数 |
|---|---|---|
| 信頼 | 本音や事情に加え、疑問や異論も伝えられていたか | /10点 |
| 動機 | 望む変化と、その背景にある理由が本人の言葉で語られていたか | /10点 |
| 課題認識 | 表面の課題だけでなく、それを生んだ原因まで本人が理解していたか | /10点 |
| 解決策 | この方法でどう変われるかが見え、本人が取り組みたいと思えていたか | /10点 |
| 代価 | お金・時間・労力・行動の変化を理解し、引き受ける意思と条件があったか | /10点 |
点数の目安は、次のように考えてみてください。
| 点数 | 状態 |
|---|---|
| 未確認 | 判断するための話が、まだ出ていない |
| 0点 | 本人が明確に否定している、または認識が一致していない |
| 1〜3点 | 話題には出たが、納得しているかは分からない |
| 4〜6点 | 同意はあるが、曖昧さや迷いが残っている |
| 7〜8点 | 本人が、自分の言葉で理由や納得を話せている |
| 9〜10点 | 具体的な疑問や不安も確認したうえで、本人の納得がはっきりしている |
聞いていないことは、0点ではなく「未確認」にしてください。
そして、採点した理由として、相手が実際に話した言葉を書いてみてください。
「自分が説明したから、伝わったはず」ではなく、「相手が何と言っていたか」を根拠にするんです。
合計点だけで成約を予測するものではありません。
見るべきなのは、どのYESが十分に深まらなかったのかです。
信頼が足りなかったのか。
動機がまだ表面的だったのか。
課題を伝えたものの、原因への理解までは進んでいなかったのか。
解決策が本人の欲しい未来につながっていなかったのか。
必要な負担を、最後まで確認できていなかったのか。
ここが見えると、「もっと上手に売ろう」という曖昧な反省が、「次はここを直そう」という具体的な改善に変わります。
個別相談を変えるなら、実際の対話を見てもらう
ここまで読んでも、自分の個別相談が何点なのか、一人では判断しにくいと思います。
自分では聞けているつもりでも、相手が本音を話す前に次へ進んでいるかもしれません。
課題に気づいてもらったつもりでも、相手は知識として理解しただけかもしれません。
だから、個別相談を改善するときに僕が最もおすすめしているのは、セールスを熟知している人に、実際の対話を見てもらうことです。
理想は、個別相談を動画で記録して見てもらうこと。
相手の表情、声の調子、間の取り方、自分のリアクションまで確認できます。
動画が難しければ、音声や文字起こしでも構いません。
相談相手の了承を得たうえで記録し、分かる人に見てもらってください。
「こんなふうに話しています」と説明するよりも、実際の素材がある方が、どこで相手の納得が止まったのかを具体的に確認できます。
僕自身も、クライアントからセールス動画を持ってきてもらい、その対話を見ながら改善提案をしています。
その支援の中では、成約率5%ほどで低迷していたクライアントが75%まで改善した事例や、支援初月に200万円を超える売上を出した事例もあります。
自分の個別相談を見直したい。
5つのYESで、実際にどれぐらいの点数が取れているかを客観的に知りたい。
次の相談で何を変えればいいのか、具体的に教えてほしい。
そんな方は、ぜひスポットコンサル、または個別相談にお申し込みください。
実際の対話を一緒に見ながら、今のあなたが直すべき場所を、具体的にしていきましょう。

