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紹介でつながった相手との初回面談を、売り込みにしない進め方

紹介を受けた相手との面談は、最初から少し温度があります。
まったく知らない人への連絡より、会う理由がすでにあるからです。
紹介者が「この人なら合うと思う」と言ってくれたことで、入口の信頼も生まれています。

だからこそ、初回からサービス説明を急ぎすぎる人がいます。
紹介者が困りごとまで教えてくれた場合は、なおさらです。
「この悩みなら、うちで解決できます」と、準備した提案を早く出したくなります。

でも、紹介は購入意欲の証明ではありません。
本人が何に困り、どこまで変えたくて、今日の面談に何を期待しているかは、本人に聞かなければ分かりません。
紹介経由の初回面談は、売り込む時間ではなく、紹介で聞いた情報を本人の言葉で確かめる時間です。

紹介者の話は、便利な答えではなく仮説

たとえば、知人から「最近、集客がうまくいかなくて困っているデザイナーがいる」と紹介されたとします。
あなたは集客支援をしているので、提案の準備もできます。
ここで「SNSの導線を整えれば問い合わせが増えます」と始めれば、話は早そうです。

ただ、本人が本当に困っているのは、集客そのものではないかもしれません。
仕事は来ているけれど、受けたい案件と違うのかもしれません。
あるいは、紹介者に弱音として話しただけで、今は別の優先課題を抱えているかもしれません。

紹介者から聞いた話は、面談の準備には役立ちます。
相手の業界や仕事を調べ、どんな問いを持って行くかを考える材料にもなります。
けれど、面談で確かめる前から答えにしてはいけません。

「ご紹介者からは、今は集客の話が出ていると伺いました。実際には、どんな場面で止まりやすさを感じていますか」
このように、聞いた内容を仮説として置けば、相手は訂正も補足もできます。

初回面談で必要なのは、当てにいくことではありません。
相手が「その見方は少し違っていて」と言える余地を残すことです。

最初に合わせるのは、提案の中身より今日の目的

紹介面談では、会う目的が曖昧なまま始まることがあります。
紹介者は「一度話してみたら」と言った。
相手も「お願いします」と返した。
この流れだけだと、雑談をしたいのか、相談をしたいのか、具体的に依頼先を探しているのかが分かりません。

そこで、冒頭で今日の面談の使い方を短く合わせます。

  • 今の状況を整理する時間にしたいのか
  • 何かを依頼できる相手かを知りたいのか
  • すぐには依頼しないが、今後のために話を聞きたいのか

どれが正しいという話ではありません。
目的が違えば、こちらが話すべきことも、最後に決めるべきことも変わります。

ここを聞かずに提案へ進むと、相手はまだ状況を話したい段階なのに、こちらだけが受注の段階へ進みます。
そのずれが、紹介者への遠慮もあって断りにくい空気を作ることがあります。

紹介への感謝を、提案を急ぐ理由に変えないことです。
相手が安心して「今はまだ分からない」と言える面談の方が、あとから仕事の話にもなりやすくなります。

初回面談で聞きたい三つのこと

面談で全部を聞き切る必要はありません。
ただ、次の三つが見えると、提案をするか、もう一度話すか、いったん待つかを判断しやすくなります。

  1. 今、何が起きているか

    困りごとを抽象語で終わらせず、いつ、どんな場面で、誰が困るのかまで聞きます。

  2. 本当は、どんな状態にしたいか

    「売上を増やしたい」の奥に、受けたい仕事を選びたい、社内の負担を減らしたい、紹介だけに頼らず仕事を作りたい、といった願いがあるかもしれません。

  3. そこへ向けて、すでに何を試しているか

    すでに動いていることを聞くと、安易な提案を避けられます。
    相手が大事にしているやり方や、過去にうまくいかなかった理由も見えてきます。

この三つを聞くと、紹介前に聞いていた話とは違う輪郭が現れることがあります。
その違いを見つけることが、初回面談の成果です。

提案は、課題と役割が重なった時に置く

話を聞いた結果、こちらが役に立てそうな場合もあります。
その時も、できることを一気に並べるより、「今の話なら、まずここを一緒に整理できます」と、相手が話した課題に戻して伝えます。

反対に、まだ課題が曖昧なら、提案を急がなくて構いません。
資料を送る、もう一度話す、他の専門家を紹介するなど、次の選択肢を一緒に考えた方がよいこともあります。

仕事につながる初回面談は、必ずしもその場で依頼が決まる面談ではありません。
相手が「この人には、何を相談すればいいか分かった」と感じる面談です。

紹介者へのお礼と、相談内容の共有を分ける

面談の後、紹介者へお礼を伝える場面もあります。
ここで、相手から聞いた事情をそのまま詳しく返す必要はありません。

「おつなぎいただき、無事にお話しできました。ありがとうございます」
まずはこの程度で十分です。
具体的な相談内容や、次に何をするかを共有するなら、本人が共有してよいと言っている範囲にとどめます。

紹介者への感謝と、面談相手との信頼は、どちらも大切です。
その二つを守るには、誰から聞いた情報なのか、誰の意向を確認したのかを、面談の中で混ぜないことです。

今日の面談前に、一つだけ決める

次に紹介で面談をする時は、提案資料を開く前に、最初の質問を一つだけ用意してみてください。

今日のお時間で、どんなことが整理できたらよさそうですか。

この問いがあると、紹介者の期待でも、こちらの都合でもなく、本人の面談になります。
そのうえで見えてきた課題に対して提案する方が、仕事の話は自然に進みます。

紹介からつながった面談で、何を聞き、どこまで提案するべきか迷う時は、まず会話の流れを整理してみてください。
相手の課題、こちらの役割、次に決めることを分けられると、無理に売り込まなくても進め方が見えてきます。

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