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嫌われたくなくて踏み込めない相談は、なぜ決まらないのか|優しさと遠慮の分かれ目

個別相談がうまくいったかどうかを、僕は場の空気で判断しません。
見ているのは、相手が自分の課題を自分の言葉で言えた瞬間があったかどうかです。

和やかに終わって、感謝されて、それでも決まらない相談があります。
このタイプは、押しが弱かったわけでも、トークが下手だったわけでもありません。
相手のことを思って踏み込まなかった結果、相手が判断できる材料を持たずに帰っている。

優しさのつもりでやっていることが、相手の意思決定を止めている。
今回はこのズレを扱います。

「いい人だった」で終わる相談の共通点

決まらなかった相談を思い出すと、だいたい次のどれかが起きています。

相手が言った悩みを、そのまま受け取って終わっている。
気まずくなりそうな話題の手前で、話を明るい方向へ戻している。
相手が「頑張ります」と言った時点で、それ以上聞いていない。

どれも、その場では正しい振る舞いに見えます。
相手も気分よく帰るので、失敗したという感覚が残りません。

だから次も同じやり方を続けてしまう。
ここが厄介なところです。

押しが足りないのではなく、材料が足りない

決まらない相談の後、多くの人は最後の場面を反省します。
金額の伝え方が悪かったか、もう一押しすべきだったか。

でも人が決められないのは、押されなかったからではありません。
このままだとどうなるのか、何を変えれば良くなるのかが、自分の中で像を結んでいないからです。

判断には材料が要ります。
いま何が起きているのか、その原因はどこか、放っておくとどうなるのか。
この3つが相手の中で言葉になっていない状態で「どうしますか」と聞かれても、答えは「検討します」しかありません。

決まらない相談の話は「検討します」を減らすには、最後の返し方より前の判断材料を見るでも扱っています。
今回はその手前、なぜ材料を渡せないのかという心理の側を見ます。

優しさと遠慮は違う

ここを混ぜている人が、本当に多いです。

遠慮は、自分が嫌われないための行動です。
優しさは、相手が前に進むための行動です。

向いている方向が逆なのに、外から見た振る舞いはよく似ています。
どちらも「言わない」「深追いしない」という形をとるからです。

見分け方は一つで、その沈黙は誰のためだったかを後から言えるかどうか。
相手のためだったと言い切れないなら、それは遠慮です。

そして遠慮は、相手にも伝わります。
触れられなかった話題があると、相手は「ここは聞かれたくないところなんだな」と学習して、自分でも直視しなくなります。

踏み込むことと、強引に売ることは別物

踏み込むと聞くと、詰めるイメージを持つ人がいます。
でも実際にやるのは、確認です。

相手を追い込むのではなく、相手が見ないようにしている場所を、一緒に見る。
そのために僕が持っている合言葉は、いつも同じです。

言いにくいことほど、相手のために聞く。

これは強気になれという話ではありません。
順番の話です。
課題を直視しないまま提案を置くと、どれだけ良い商品でも「今じゃない」と言われます。

相談の中で使う確認の型

踏み込む時に使えるのは、次のような聞き方です。

  1. 事実を確認する

    「いま、月にどのくらい相談が入っていますか」
    感想ではなく数字や回数で聞きます。
    ここが曖昧なままだと、後の話が全部ぼやけます。

  2. 本人の解釈を聞く

    「それは、何が原因だと思っていますか」
    ここで出てくる答えが、相手の現在地です。
    ずれていても、まず最後まで聞きます。

  3. 見立てを渡して、確認を取る

    「僕には〇〇に見えているんですが、どう感じますか」
    断定ではなく、確認の形で渡します。
    ここが踏み込みの本体です。

  4. 放置した場合を一緒に見る

    「このまま半年続けたら、どうなりそうですか」
    こちらが脅すのではなく、本人に言ってもらいます。

  5. 必要性を本人の言葉にしてもらう

    「じゃあ、先に手をつけるならどこですか」
    ここまで来て初めて、提案が浮かなくなります。

3番目でつまずく人がいちばん多いです。
見立てを渡すのが怖い。
外していたら失礼だと思ってしまう。

でも、外していたら相手が訂正してくれます。
訂正が入った時点で、相談の精度は上がっています。

見立てを外すことは、失敗ではない

「違います」と言われるのが怖くて確認を飛ばすと、こちらの仮説は一生検証されません。

相手が訂正してくれた内容は、そのまま次の材料になります。
むしろ、一度も訂正が入らなかった相談のほうが、表面をなぞって終わった可能性が高い。

僕は、相談中に一度は外すつもりで見立てを出します。
当てにいくのではなく、相手の中の言葉を引き出すために出しています。

型を知っても、まだ踏み込めない時

聞き方が分かっても、本番で口が動かないことがあります。
その時は、次の3つのどこで止まっているかを切り分けると進みます。

  • どの話題の手前で止まるか

    金額なのか、現状の数字なのか、過去の失敗なのか。
    毎回同じ場所で止まっているはずです。

  • 止まる理由はどちらか

    相手への配慮で止めているのか、自分が否定されるのが怖くて止めているのか。
    ここは正直に書き出すほど早く進みます。

  • そもそも踏み込める関係になっているか

    聞き方の問題ではなく、その手前で関係が積めていないだけのこともあります。

3つ目は見落とされがちです。
初対面でいきなり核心に触れると、確かに反発されます。
踏み込めるだけの前提が積めているかは、相談の前段で決まっています。

その前段の作り方は成約率が上がらない時、セールストークより先に見直したい6つの教育にまとめています。

今日やること

直近で決まらなかった相談を、一つ思い出してください。

そのうえで、一つだけ書き出します。

あの時、聞かなかった質問は何だったか。

聞かなかった理由が「相手のため」だったのか「自分のため」だったのかまで書けると、次の相談で変える場所が見えます。

自分ではどこで止まっているか分かりにくい、という方は一度流れ全体を見た方が早いです。
ヒアリングの深さなのか、見立ての渡し方なのか、その前の関係作りなのか。
どこが詰まっているかが分かると、直す場所が一つに決まります。

他の人の相談の進め方も見ながら練習したい場合は、僕のコミュニティ「ぺいの対話室」に参加してみてください。
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