セミナーが終わった後、参加者から「結局、自分は何をすればいいですか」と聞かれることがあります。
内容には納得してくれたのに、帰ってから自力で試すのか、個別に優先順位を決めるのかを選べない状態です。
この迷いが残るなら、人数やスライドがそろっていても、フロントセミナーとしての役割は果たせていません。
僕が企画の前に決めるのは、参加者が終了後にどちらを選べるようになるかです。
自力で試すなら何を試すのか。
個別相談へ進むなら、何の優先順位を決めるためなのか。
この記事では、その次の判断から、許可を取り続ける設計と本編の役割を逆算します。
「勉強になった」で終わると、判断は先送りされる
セミナーの後に満足の声をもらえると、開催者は安心します。
ただし、満足したことと、自分の現場で動けることは別です。
参加者が「いい話だった」と感じても、何から変えるかを決められなければ、日常へ戻った時に優先順位が下がります。
たとえば、発信についてのセミナーで、投稿の作り方、導線の置き方、相談へのつなげ方を丁寧に教えたとします。
参加者は全部が大切だと理解できます。
それでも、自分の場合は投稿を直すべきなのか、商品を見直すべきなのか、相談の入口を整えるべきなのかは決められないかもしれません。
この状態で情報を増やしても、迷いが増えるだけです。
だから企画の前に、「参加者が帰る時、何を決められたら前進なのか」を一文にします。
次の判断は、参加者のBeforeとAfterの間にある
次の判断を決めるには、参加者のBeforeとAfterを先に置きます。
Beforeは、単に知識がない状態ではありません。
やるべきことがいくつもあり、自分に必要な順番が分からない状態です。
Afterも、「全部できるようになる」ではありません。
自分の問題をどの角度から見ればいいか分かり、最初の1歩を選べる状態です。
この間にあるのが、セミナーでつくる判断です。
たとえば次のように置けます。
- 発信を増やす前に、誰のどんな迷いを受け止める商品なのかを見直す
- 個別相談を増やす前に、相談で何を一緒に決めるのかを言葉にする
- セミナーの案内を出す前に、参加者が持ち帰る行動を1つに絞る
ここで重要なのは、開催者が話したいことを判断にしないことです。
参加者が今のままでは決められないことを選びます。
テーマが広くても、持ち帰る判断が1つなら、話の軸はぶれません。
フロントセミナーは、聞く許可を取り続ける
フロントセミナーの内容が届くかどうかは、話す前の空気で大きく変わります。
申込みをして参加しているからといって、全員が最初から聞く準備をしているわけではありません。
だから、いきなり自己紹介や本題へ入るのではなく、参加者が「それを知りたい」と思える問いから始めます。
たとえば、「売上が上がったらうれしい人はいますか」という問いは、多くの人が自分の目的を確認できます。
続けて「発信の手数を増やさず、相談までの流れが整ったらどうでしょう」と聞けば、今日扱う話と参加理由がつながります。
大事なのは、手を挙げさせる演出そのものではありません。
参加者が自分の意思で話を聞く理由を確認し、話す側が「この話をしてもいいですか」と許可を取り続けることです。
この合意がないまま、正しい知識だけを渡すと、助言は押しつけに見えます。
相手が求めていることを確かめながら話すと、セミナーは一方通行の説明から対話へ変わります。
本編は、判断を支える気づきに絞る
次の判断が決まったら、本編で渡すべきものも絞れます。
すべてのノウハウを説明する代わりに、参加者の古い前提を見直す気づきを置きます。
発信が伸びない人へ、「もっと毎日投稿しましょう」と伝えるだけでは、すでに頑張っている人を疲れさせます。
先に「反応がない原因は、投稿数ではなく、読んだ人が次に何をすればいいか分からないことかもしれない」と見立てを渡す方が、参加者は自分の現場を観察できます。
本編で用意する気づきは、2〜3個で十分です。
それぞれが、参加者の次の判断につながっているかを確認してください。
面白い話でも、判断を支えないなら、次の機会に回して構いません。
セミナーで人生が変わるのではありません。
参加者が終わった後に試すことを決め、実際に動いた時に変化が始まります。
だからメモを増やしてもらうより、「いつ、何を試すか」を自分の予定へ置ける問いの方が価値を持ちます。
個別相談へ進むかは、参加者が判断できるようにする
セミナーの参加者全員が、同じ次の行動を必要とするわけではありません。
自力で試せる人もいれば、方法は分かっても、自分の場合にどこから変えるべきか決められない人もいます。
その違いがあるから、個別相談には役割があります。
個別相談で扱うのは、セミナーで話し忘れた知識ではありません。
参加者の商品、発信、見込み客、今までの対話を見ながら、どの判断を先に実行するかを一緒に決めることです。
この役割が伝われば、相談への案内は「買うか買わないか」を迫るものではなくなります。
反対に、セミナーの時点で個別相談で何を決めるのかが曖昧だと、参加者は申し込む理由を持てません。
終了後に盛り上がったのに相談へ進まない場合は、セミナーは盛り上がるのに個別相談につながらない理由も確認してください。
開催前にする小さな確認
次に開くセミナーについて、紙やメモに次の4つを書いてみてください。
- 参加者が今、迷っていること
- セミナー後に参加者が決められること
- その判断を支える気づき
- 個別に見ないと優先順位が決められないこと
2と4が同じ言葉になっているなら、セミナーと個別相談の役割が重なっています。
2が抽象的すぎるなら、参加者は行動に移せません。
反対に、2が具体的で、4に本人の状況を見ないと答えられない論点が残っていれば、自然な導線になります。
何を話すかで手が止まる時ほど、スライドを増やす前に「参加者は終了後、自力で〇〇を試すか、個別相談で〇〇の優先順位を決める」と1文にしてください。