初めてセミナーを開く時ほど、「せっかくやるなら多くの人に来てもらいたい」と考えます。
告知を出して、人数が少ないと失敗のように感じる人もいるでしょう。
けれど最初の場で本当に得たいのは、人数ではありません。
参加者がどこで反応し、どこで止まるかを知ることです。
少人数は、大人数を集められなかった時の代替案ではありません。
参加者の表情や言葉を受け取りながら、場をつくるために意図して選べる規模です。
人数が増えるほど、見えない人が増える
5人の場で問いをかけて、4人だけが反応した時、残りの1人がなぜ反応しなかったかを確かめられます。
問いが分かりにくいのか、答えにくいのか、通信や操作で反応できないのかを見分けられます。
理由が分かれば、置いていかれた人を責めずに話を戻せます。
「どちらとも言いにくかったですか」と軽く聞いたり、別の聞き方へ変えたりできます。
人数が多い場では、この確認を一人ずつすることが難しくなります。
反応が少なくても進めてしまうと、内容とのつながりを失う人が出ます。
小さな反応を積み重ねると、場が動き始める
オンラインなら「チャットが使える人は、1と入力してください」と頼むだけでも十分です。
対面なら「このテーマに触れたことがある人は手を挙げてください」と聞けます。
反応があったら「ありがとうございます」と受け取ります。
参加者は、反応しても大丈夫で、反応が場の進行に使われることを体験します。
この流れを繰り返すと、講師は理解や関心に合わせて進められます。
初回のセミナーでは、内容を完璧に話せたかより、参加者全員から小さな反応を受け取れたかを振り返る方が役立ちます。
初回のゴールを「開催」ではなく「観察」に変える
最初から完成されたセミナーを作る必要はありません。
初回は、次の3つを確かめる場にしてみてください。
- 参加者はどんな言葉で悩みを説明するか。
- どの問いで表情や反応が変わるか。
- どこで「自分の場合も知りたい」が生まれるか。
たとえば、反応が少なかったり質問が出なかったりしても、その場を失敗と決める必要はありません。
問いが抽象的すぎたのか、参加者にとって難易度が高かったのか、反応しても大丈夫と思える安心感が足りなかったのかを見ます。
少人数なら、誰がどこで止まったかを思い出しながら確かめられます。
反応の無さも、次に直す場所を教える材料です。
次回は3つすべてを直そうとせず、問い方を短くするなど1点だけ変えて試します。
この3つが分かると、次回のタイトルや構成を参加者の言葉から直せます。
少人数で始めるのは、自信がないことを隠すためではありません。
一人も取り残さない感覚を身につけるためです。
まずは実際に声をかけられる少人数の候補を書き出してください。
あわせて「どの問いで反応が変わるか」「どこで理解が止まるか」「何をもっと知りたがるか」の3つを、初回に見る項目として決めましょう。