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Uber Eatsから学ぶマーケティング

お客様の「面倒」を減らすと、商品の価値は変わる

「いい商品を作っているのに、なかなか選ばれない」

そう感じるとき、商品の内容や価格を見直したくなります。
でも、お客様が立ち止まっている原因は、それを手に入れるまでの面倒にあるかもしれません。

Uber Eatsでは、料理を作るのは飲食店です。
Uberは、お店を探し、注文し、料理を受け取るまでの仕組みをつなぎました。

この歴史には、個人事業主の商品づくりや売り方にも使えるヒントがあります。
お客様が望む結果にたどり着くまでに、どんな手間や不安を抱えているのか。
その道のりを見ることです。

はじまりは、車を呼ぶ不便だった

Uberの出発点は、料理の配達ではなく移動でした。

共同創業者の回顧によると、2008年にパリで構想を話し、2009年にアプリを試作。
2010年にサンフランシスコでサービスを始めました。

当初は、運転手付きの高級車をスマートフォンで呼べるサービスです。
2012年には、より手頃な車種を利用するUberXも登場します。
創業者による回顧、UberX開始時の発表

移動したい人は、それ以前からいました。
ただ、車を探す、電話で手配する、いつ来るか分からず待つといった不便があった。

Uberの事例をマーケティングの視点で読むと、「移動したい」という欲求と、実際に移動できるまでの間にある面倒を減らした、と捉えられます。

これは、個人事業主の仕事でも起きています。

相談したいけれど、何を準備すればいいか分からない。
依頼したいけれど、どのプランを選べばいいか分からない。
申し込みたいけれど、料金や当日の流れが見えない。

商品に興味があっても、利用するまでに調べることや決めることが多いと、そこで止まってしまうんですよね。

配車の仕組みを、料理を届ける仕組みへ

2014年、Uberはロサンゼルスで「UberFRESH」を始めました。
Uber Eatsの前身となる料理配達サービスです。

最初は限られた地域・時間・メニューからのスタートでした。
2015年にUberEATSへ改称し、その後、専用アプリとして展開していきます。
初期サービスの案内、改称の発表、専用アプリの発表

ここで注目したいのは、注文する人と飲食店、それぞれの面倒を減らしたことです。

注文者は、店へ出かけなくても料理を受け取れる。
飲食店は、自分たちで配達員や配達の仕組みを一から用意せずに、店の外へ料理を届けられる。

もちろん、飲食店には手数料などの負担があります。
参加すれば必ず利益が増えるわけではありません。
それでも、自前では難しかった提供方法を選べるようになります。

個人事業主も、価値を届けるために必要なものを、すべて自分で持とうとする必要はありません。

例えば、デザイナーが写真撮影も必要な案件を受けるなら、撮影まで自分で覚える方法もあれば、カメラマンと組む方法もある。
依頼者から見ると、別々に探して説明する手間が減ります。

商品単体だけでなく、「誰と組めば、お客様が利用しやすくなるか」まで考えると、提供できる価値は変わります。

日本では、制度に合わせて届け方を変えた

ただし、Uberの歴史は、便利なサービスが順調に広がった話だけではありません。

日本では、2013年の試験展開を経て、2014年に東京で配車サービスを始めました。
入口になったのは、許可を持つハイヤー会社などとの提携です。

一方、2015年に福岡で試した「みんなのUber」は、国土交通省から中止の指導を受けました。

乗客の利用料は無料でしたが、Uberから一般ドライバーへデータ提供料を支払う仕組みでした。
国交省は、実態として有償運送に当たると判断したのです。
国土交通省の調査報告

2016年9月には、東京の一部地域でUber Eatsが始まります。
人を運ぶ配車と料理を運ぶ配達では、適用される制度が異なります。
料理配達の展開を、白タク規制を回避した話として説明するのは正確ではありません。
日本でのUber Eats開始発表

海外でも責任は問われました。
2017年、EU司法裁判所は、一般ドライバーと乗客を結ぶ対象のUberサービスを、単なる情報サービスではなく、輸送サービスと不可分だと判断しています。
EU司法裁判所の発表

日本では2024年、タクシー会社の管理の下で、タクシー不足の地域や時間帯に自家用車と一般ドライバーを活用する制度が始まりました。
条件付きの制度として整備されたわけです。
国土交通省の制度創設発表

ここから読み取れるのは、便利さを実現するには、地域の制度や協力相手に合わせて事業を組み立てる必要がある、ということです。

自分の商品に需要があっても、提供する相手の事情や業界の条件によって、売り方や届け方は変わります。

個人事業主なら、申し込みの前後を見てみる

自分の商売で実践するなら、お客様がサービスを知ってから、望む結果を得るまでを順番にたどってみます。

例えば、コンサルタントに相談したい人がいたとします。

でも、「課題が整理できていないと相談できないのでは」と思い、申し込みをためらっているかもしれません。

その場合、相談できる内容と当日の流れを示し、「状況の整理から一緒に進めます」と伝える。
申し込みフォームの質問も、最初に必要なものへ絞る。

専門知識を増やす以外にも、相談しやすさを改善する余地があります。

講師なら、受講後を見ることもできます。

「内容は分かった。
でも、自分の場合は何から始めればいいか分からない」

そこで止まる人がいるなら、講義に情報を追加するより、最初の行動を選べる確認表を渡したり、次回までに試すことを一緒に決めたりする方が役立つかもしれません。

制作業なら、依頼前の準備です。

「原稿も写真も、全部そろえてから頼まないといけない」と思っているお客様に、必要な素材と、準備を手伝える範囲を示す。
最初の打ち合わせで完成イメージを整理できると伝える。

こうした工夫は、お客様が一人で抱えていた作業を減らします。

商品を見るときに、内容や品質だけでなく、申し込みやすさ、使い始めやすさ、成果につながるまでの進めやすさも見てみる。
その中に、選ばれる理由を作れる可能性があります。

小さく試して、続けられる形を探す

ただ、面倒をすべて引き受ければよいわけでもありません。

個別対応を増やせば、自分の時間や費用も増えます。
お客様には便利でも、提供する側が疲弊してしまえば続きません。

Uber Eatsのような仕組みも、注文者・店舗・配達する人が地域の中でつながって成り立っています。
大きな企業の提供方法を、そのまま一人の商売へ持ち込めるわけではありません。

だから、まずは一つの場面に絞って試す。

申し込み前によく聞かれることを案内にまとめる。
準備物を分かりやすくする。
受講後に使う確認表を作る。

実際にどこで迷っていたのか、改善後に進めやすくなったのか。
そして、自分も無理なく提供できるのかを確かめていきます。

Uber Eatsの歴史から、自分の仕事に取り入れられるのは、こうした視点だと思います。
お客様が欲しいものと、それを受け取れる状態になるまでの間に目を向けること。

あなたのお客様は、望む結果を手に入れるまでのどこで「面倒だな」と感じているでしょうか?

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