商品設計の相談で出てくる悩みは、だいたい次のどれかに寄ります。
作りかけのまま終わらない。
これでいいのか自信が持てない。
魅力的な言葉が出てこない。
そもそも、この内容で高単価にできるのか。
できたとして、その金額で本当に売れるのか。
どれも、悩んでいる場所は違うように見えます。
でも僕がこの相談を受けた時、最初に確かめることは毎回同じです。
その商品は、誰がどんな状態から、どんな状態へ進むものですか。
この一文が出てこない商品は、何を足しても単価が上がりません。
逆に、この一文が言い切れた瞬間に、削る判断まで一気にできるようになります。
自信、言葉、価格。
バラバラに見えていた悩みが、同じ一文から解けるからです。
この記事では、その一文の作り方と、作った後に確かめる場所までを扱います。
中身を足すほど、選びにくくなる
中身を足すのは、悪い判断ではありません。
実際、内容が薄い商品は続きませんし、足したほうがいい場面もあります。
問題は、足す作業が「伝わらない」の解決策になっていないことです。
買う人が知りたいのは、ひとつだけです。
これを受けたら、自分はどうなるのか。
項目が20並んでいる時、この問いに答えているのは誰でしょうか。
売り手ではありません。
読んだ人が、20項目を自分の状況に当てはめて、「たぶん自分にはこれとこれが効くんだろう」と組み立てています。
つまり、項目を増やすほど、変化を想像する作業を相手に外注していることになります。
ここが単価の壁になります。
自分で組み立てないと分からない商品は、その場で決められません。
決められないものは、いったん保留されます。
そして保留された商品は、後日「いくらだったか」だけで思い出されます。
変化の像が残っていないので、記憶に残る情報が金額しかない。
比較された瞬間に価格で負けるのは、このためです。
逆に、変化が一文で入っている商品は、その一文ごと記憶に残ります。
金額は、その変化に見合うかどうかで判断される。
同じ商品でも、判断の土俵が変わります。
単価に自信が持てない時、揺れているのは値段ではない
価格を上げようとすると、手が止まります。
この金額をもらう自信がない、高いと言われたらどうしよう、相場からずれていないか。
ここで「勇気を出して上げましょう」と言われても、たいてい上げられません。
自信がないのは性格の問題ではなく、根拠がないからです。
価格の根拠は、実績年数でも、提供時間でも、資料の量でもありません。
その人が受け取る変化の大きさです。
だから順番が逆になっている人が多い。
価格を決めてから根拠を探すのではなく、約束する変化を決めれば、価格は後から決まります。
約束を一文にする型
書き出す形は、これだけです。
〇〇な人が、△△になる
ただし、この型が薄いまま終わるか、価格の根拠まで持つかは、書き方では決まりません。
一文の後ろに、どれだけ材料が積まれているかで決まります。
一文の後ろに必要な7つ
売れているコンセプトを分解すると、最低限この7つが入っています。
- 誰に向けたものか
- どんな悩みを解決するのか
- その悩みの本当の原因は何か
- どんな未来に連れていくのか
- なぜその方法で変われるのか
- なぜあなたから学ぶ必要があるのか
- なぜ今やる必要があるのか
一文に書くのは、このうち1と4だけです。
〇〇が1、△△が4に当たります。
残りの5つは、文面には出てきません。
でも、埋まっていないと一文が痩せます。
「〇〇な人が、△△になる」と書いた時に、なんとなく嘘くさい、自分でも言い切れない、という感覚が出ることがあります。
その正体は、たいてい3・5・6のどれかが空欄になっていることです。
- 3が空欄だと、悩みの表面に答える一文になり、他社と同じことを言う
- 5が空欄だと、変化は書けても「本当にそうなるの?」に答えられない
- 6が空欄だと、内容は良くても「別にあなたじゃなくていい」になる
一文が書けない時、多くの人は言葉選びを直そうとします。
でも直す場所は、たいてい言葉ではなく、この空欄のほうです。
7つの要素を一つずつ埋める手順は、集客が難しくなった人のための、売れるコンセプトメイキング完全教科書にワーク5つの形でまとめています。
一文が途中で止まったら、そちらへ戻ってください。
〇〇には、相手の現在地を書く
肩書きや属性ではなく、いま困っている状態を書きます。
- 「30代女性」ではなく「発信は続けているのに相談が来ない人」
- 「起業初心者」ではなく「商品はあるのに価格を言い切れない人」
- 「経営者」ではなく「単発の仕事が続いて、継続案件にならない人」
属性で書くと対象が広く見えますが、読んだ人が自分だと気づけません。
現在地で書くと、当てはまる人だけが強く反応します。
△△には、得られる変化を書く
やること(手段)ではなく、終わった後の状態を書きます。
- 「SNSの使い方が学べる」ではなく「相談が入る導線が一本つながる」
- 「商品設計が学べる」ではなく「価格を自分の言葉で説明できる」
- 「AIが使える」ではなく「毎週の発信が止まらなくなる」
手段を書くと、他社と比較されます。
状態を書くと、比較の軸が自分の商品に移ります。
まずは1と4を荒く置く
7つ全部を先に埋めようとすると、たいてい手が止まります。
1と4だけ荒く置いて、残りは後ろから埋めるほうが早いです。
最初から完璧な一文は出ません。
書いてみて、口に出して、違和感のある単語を入れ替える。
この往復を3回もやれば、だいぶ絞れます。
一文ができたら、3つの場所で試す
作って終わりにすると、机上の言葉のままです。
次の3か所に置いて、通じるかどうかを見ます。
自己紹介で言ってみる
相手の反応が「へえ」で終わるか、「それ、どうやるんですか」まで進むか。
後者が出たら、その一文は機能しています。商品説明の一行目に置く
説明の途中ではなく、最初に置きます。
ここで置けない一文は、まだ絞れていません。断られた理由と照らす
直近で決まらなかった相談を思い出して、その人がこの一文の〇〇に当てはまるかを見ます。
当てはまらないなら、相手選びの問題であって、商品の問題ではありません。
3つ試すと、直すべき場所が中身なのか、言葉なのか、相手なのかが分かれます。
ここが分かれるだけで、無駄に中身を足す作業が止まります。
説明を増やしたくなる時ほど、削る
一文が決まると、不思議なことに削れるようになります。
約束に関係しない項目が、自分でも見えてくるからです。
「あれも教えてあげたい」は、多くの場合こちらの不安から出ています。
相手のためではなく、価値が足りないと思われたくない気持ちです。
この不安は、行動を止める理由としてもよく出てきます。
その構造は言い訳をやめられないのは、意志が弱いからではない|行動を止める「二次利得」の正体で詳しく書いています。
一文が書けたのに、しっくりこない時
書き上げたのに、どこか他人の言葉みたいで腑に落ちない。
この状態になったら、次の3つのどれかがずれています。
現在地が粗い
〇〇が広すぎて、読んだ人が自分のことだと気づけない状態です。
もう一段、困っている場面まで下ろします。価格が変化に追いついていない
約束した変化が大きいのに金額が低いと、かえって変化が小さく見えます。
安さが信頼を削ることもあります。一文と中身がずれている
約束は大きいのに、提供内容が手段の羅列で終わっているパターンです。
特に3つ目は、自分では気づきにくい場所です。
受け取った人が「思っていたのと違う」と感じる原因は、たいていここにあります。
価格と変化の釣り合いについては、100万円の商品が売れる人と、3万円でも迷われる人の違いも合わせて読んでみてください。
今日やること
今日は、一文を書くところまでで十分です。
〇〇な人が、△△になる
紙でもメモアプリでも構いません。
書けたら、明日それを声に出して誰かに言ってみてください。
ここまで読んで「自分の商品は、どこがぼやけているんだろう」と感じた方は、一度その一文を一緒に見た方が早いです。
現在地の書き方なのか、変化の設定なのか、価格との釣り合いなのか。
どこがずれているかが分かると、次に直す場所が一つに決まります。
もう少し早く、他の人の商品も見ながら考えたい場合は、僕のコミュニティ「ぺいの対話室」に参加してみてください。
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